フラット35やフルローンの家は、返済途中で売却できるか

フラット35やフルローンの家は、返済途中で売却できるか

マイホームの購入を現金一括で行う人はほとんどいません。高額な買い物ですし、借り入れを行えば税務面での優遇もあるので住宅ローンを利用して購入するのが一般的です。ただローンは借金なので、心理的に負担となる他、ローンの返済中にマイホームを売却しなければならなくなった場合、困った問題になることもあります。

例えばリストラでローンを支払えなくなった、長期の転勤で購入したマイホームが利用できなくなったなど、ローンの支払途中に売却する必要ができた時に注意すべき点をご紹介します。

“ローン残債

ローンの残債が売却金額よりも大きくなる場合は基本的には売却できないということを覚えておきましょう。

※全ての場合で売却できないわけではありません。

理由はローンを組んだ時、マイホームに抵当権が付けられます。ローンの支払いが滞った時には、借り入れをしている金融機関が家を売却してローンの残債に充てるためです。抵当権が付いたままでは誰も買ってくれませんので、抵当権を金融機関に外してもらう必要がありますが、その際にはローン残債の完済を求められます。

ですので物件の売却代金と自己資金を合わせてローンを完済できれば問題ありませんが、それができない場合は売れない事態になります。

売れなければ競売・任意売却

もし売れない場合、債権者と交渉して分割払いを約束することで、とりあえずの物件売却(任意売却)が可能になることもあります。任意売却を専門にしている不動産会社もありますので、普通の不動産会社とは異なる視点とノウハウで交渉を進めてくれます。

ローンを払えないまま放置すると、競売手続きにかけられ、市場価値より安く買い叩かれて損をすることになります。万が一に備えて、また通常の売却で済むかを確認するために、不動産の査定をしておきましょう。

フラット35の任意売却

フラット35を例に、任意売却の流れを追ってみましょう。フラット35では任意売却パンフレットというPDFが掲載されており、これを見ると任意売却とは何かを理解しやすいかと思います。

任意売却パンフレット

まず任意売却のメリットが3つ記載されています。簡単にまとめると以下の通りです。

  • 競売より高値売却の可能性が高く、負担軽減に
  • 仲介手数料等の控除や延滞金の減額等を相談できる
  • 家の引き渡し時期等の融通が利く

競売や任意売却は家を取り上げられるだけでなく、売却金額でローンが完済できない場合、借金を背負うことになります。そのため競売にかけられた場合は自己破産するケースも少なくありません。

任意売却をすると借金の減額や分割での返済など、金融機関が相談に乗ってくれる可能性があるので、誰に相談してもローン返済不能となった場合には任意売却を勧められるはずです。

任意売却の流れ

任意売却パンフレットを見ていくと、通常の売却の流れと同様、仲介してくれる不動産会社を自分で探すことが分かります。買い手も一般の方々なので、家をキレイにしたり、内見への対応が必要です。

まず初めに金融機関に任意売却の申請を行い、その後、通常の売却活動を始めます。ただし売却金額が今後の返済額を左右することになるので、高く売るために家を良い状態にすることは忘れてはいけません。少し面倒ですが、任意売却の場合は頻繁に報告を求められます。例えば不動産会社に査定をしてもらった後は、かなりの数の報告書を提出しなければいけません。

一例ですが、以下に提出書類をまとめます。

  • 売出価格確認申請書
  • 価格査定書
  • 実査チェックシート
  • 査定価格の根拠になった取引事例
  • 周辺地図
  • 住宅地図
  • 間取り図
  • 外観や内部等の写真
  • 固定資産評価証明書

少なくともこれらの書類が必要になりますが、不動産会社が準備してくれるものも多いので、それほど心配する必要はありません。自分で準備するものも比較的すぐに集められます。

売却活動

フラット35の場合、不動産会社との契約は専属専任媒介契約か専任媒介契約のどちらかです。また任意売却パンフレットには、どうすれば高く売れるか、どうすれば買ってくれるかという基本的なことが記載されており、任意売却でなくても参考になりますので、ぜひ一読してください。

他にも買い手への説明等、任意売却ならではの必要項目がありますが、不動産会社の方がサポートしてくれますので、面倒な手続きについてはお任せしましょう。売却が終わり、住宅ローンが完済できれば晴れて新生活のスタートですが、住宅ローンが残っていれば返済計画を話し合うことになります。

金融機関は少しでも多く返してもらえれば良いので、無理な返済計画を押し通そうとはしません。自分の状況を丁寧に説明し、じっくり相談するようにしてください。

高く売るための工夫を

任意売却でも通常の売却でも、まずは査定して不動産会社に仲介する点では同じです。不動産会社がどれだけ経験があり、腕があるかで大きく変わるので他の人の売却体験談も参考に、出来るだけ高く売る工夫をしてください。

高く売るためには、地味な工夫を1つずつ行っていくことが大切です。どれが買い手に響くかは分からないので、きっちり戦略を立てて売却しましょう。

Step0
不動産の売却前にまず査定

イエイは約1分で複数の不動産会社に査定できる一括査定サイト。不動産会社によって500万円以上、査定価格に差がでることもありますので、買取をお願いする人は特に比較しましょう。

また全国1000社が登録しているので、売却や買取できる会社がきっと見つかります。

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杉山さん(仮名・30代)
滋賀県彦根市・大津市

戸建5:土地2:マンション3ぐらいの割合で仲介されており、売却時に住宅ローンの残債がある人がほとんどだったそうです。

主な不動産
一戸建て
平均売却価格
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仲介経験
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岡山県岡山市北区

事業に失敗し、借金と住宅ローンの返済のために一戸建てを売却して転居を行う。売却の提案は家族からあり、祖父が紹介してくれた不動産会社に依頼。

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