元付業者の担当者が知っておくべき、客付け業者との接し方
※客付業者から見た視点で解説しています。
元付け業者は専属専任媒介もしくは専任媒介契約を売り主との間で契約していて、契約後3ヶ月間は独占的に仲介をすることができます。他の仲介業者はこの段階では、この物件に手を出せません。しかし一方でREINSへの登録による公開や売主への1~2週間に1回以上の仲介経過の報告をすることが義務となっています。
REINSに登録すると、まもなく一般公開されて客付け業者からの問い合わせも増えてきます。
次に取引の流れを順に説明し、その中で客付け業者との【接し方】を記載してみます。
元付け業者としての仲介活動
これらは自社中心で行います。
- 自社で把握しているマンション限定客への紹介
- 自社で把握している地域特定客への紹介
- 自社のグループ会社にも紹介します。
この段階から、客付け業者とのやりとりが始まります。
客付け業者からの問い合わせ
REINSの登録した一両日後には、問い合わせの電話が入りだします。
とにかく「この物件は、まだあるでしょうか?」「わが社で取り扱わせていただいてよいでしょうか?」などです。ここからが客付け業者さんとのコミュニケーション、接し方が必要となります。
自社で取り扱いたい期間
仲介希望があれば、感謝の意を伝えて、丁寧にお断りしてください。もし商談が流れたときのために、できれば業者名と連絡先は念のために聞いておきましょう。
客付け業者への断り
丁寧に「すでに商談が入っています」、「すでに申込みが入っています」、「すでに契約中です」などと答えることが多いようです。問い合わせに対しては感謝の意を表してください。
この最初の1週間で決められなければ、社内協議で客付け業者を受け入れることができます。今後はある意味客付けは自由競争になりますが、元付けとしては少なくとも片手分は売主から仲介手数料を確保できます。
客付け業者との連携
店の方針にもよりますが、自社だけで購入申込みがとれず、これ以上の独占は遵守義務違反ともなりかねず、また現実に内見客がいなければ、客付け業者からの仲介依頼を受け入れないといけないです。
ここで申込みから売買契約、最終決済になれば、仲介業者と元付けは「分かれ」といって個々に仲介手数料を受け取れます。
内見日が決まれば連絡が入りますので、現地で待ち合わせします。
初対面
内見場所ではまず名刺を交換しておきます。
これは仲介の報告時に売主には新たな仲介業者として報告に使います。
内見時の説明
主に元付け業者側が行います、また客付け業者と売主さんが直接取引に絡む話しをしないように上手く接します。お客様の職業なども客付け業者から丁寧に聞きだします。
内見に立会いできないなら
どうしても都合で立ち会えないときは、場合によっては客付け側でやむをえず説明してもらうこともできます。売主さんにもその旨はお願いする必要があります。業界ではお客をとられてしまうことを「飛ばし」といいますように、立会いはこれを防ぐためにもスルーしないようにしましょう、トラブルのたねです。
それぞれの顧客に直接コンタクトすることは避ける
元付け業者が、内見時やそのあとで買主に直接コンタクトしたり、逆に客付け業者が売主に直接コンタクトするのは避けましょう。エチケットです。
購入申込みの獲得
購入申込みがされたときは、売主さんからその内容の確認などの依頼を受け、客付け業者と交渉することになります。
連絡を密に
お互いに売買契約に向かって購入交渉妥結に協力し合いましょう。
売買契約書等の作成
購入申込みがあれば、キャンセル(法的には拘束力はない)されないように、早く売買契約に持っていけるように動きます。元付けとして重要事項説明書を作成しながら、また売買契約書の記載内容では買主の銀行ローン状況確認や引渡し時期などを客付け業者に確認をとりながら作成します。
事前了承
重要事項説明書と売買契約書作成で、下案などを客付け業者にお見せして、事前了承をとってもらいましょう。
売買契約
客付け側仲介会社などで両者側が集まって売買契約を締結します。おもに重要事項説明と売買契約書を読み合わせしながら、買主からの質疑に答えていきます。
疑問点
当日、買主からの質問でそれぞれの業者が違う意見にならないように、できれば当日までに買主の疑問点は事前に解消しておくように客付け業者と話し合っておきます。
引渡しやアフター
銀行支店などにそれぞれ参集して、残金授受や鍵の引渡しをします。銀行担当者や司法書士も加わりますので、効率的に終わるようにしましょう。また引渡し後の問題などのフォローのルートも説明しておきます。
あいさつ
売買契約前日や契約終了後の売買完了の御礼挨拶を客付け業者にしておきます。最後のつめですので大事です。今後もしクレームなどが発生したときでもお互いに協力しやすいでしょう。
以上、少しくだけた説明になりましたが、仲介業者同士、お互いの立場を理解して売却成立という共通目標に向かって協力していきましょう。