もしマンション等の不動産売却をキャンセルしたい場合(売り出しを中止したい場合)には、どのような流れで終了するかについて書いています。売却についての媒介
【不動産売却の媒介契約の期間】契約の更新と解除
不動産の媒介契約には期間が掛かります。売れなければ変更することもできますが、数ヶ月時間を失うので、慎重に不動産会社を選ぶことが一番大切です。
不動産の売却で媒介契約を結ぶことで何が行われるのか、媒介契約の期間や更新、解除について、また契約を更新しなかった場合に費用が請求されるかなど、媒介契約の表面上は知っているが、契約したあとのことは何も知らない人が多いかと思います。
実際に不動産売却で媒介契約を結んでからのこと、そこで特徴や性質、もし媒介契約を結ぶ時に確認しておいたほうが良いことを記載してみました。
不動産売却で媒介契約はなぜ必要?
売主が不動産会社に依頼する業務の内容とその期限・対価・報告方法などを売却活動前に締結することで、以降の不動産売買の仲介業務がスムーズにいくようにします。(宅地建物取引業法第34条の2)で不動産会社にはこの締結が義務付けられています。
以下ここでは3つある不動産の媒介契約のうち、不動産会社がもっとも期待する「専属専任媒介契約」を中心に説明します。
①媒介契約の目的
国土交通省や関連団体が指定する標準媒介契約を反映した書面の交付と説明、合意の形成は不動産会社の不法行為を防ぐためのもので、これにより不動産会社の業務範囲を規定し、健全な仲介業務がなされるように規制されています。
不動産会社は都道府県に届出の上で開業許可を得ていますので、この媒介締結義務があります。違反すれば業務停止やブラックリストに掲載公開されます。
②悪徳不動産会社
もともとの標準約款ができた背景は、悪徳不動産会社の活動を規制するためでした。
過去の不動産売却の不正例
- 査定価格がやたら高い(自社への好印象を得る)
- 書面でなかなか契約しない(仲介期間を延ばす)
- 専属専任契約でないとやる気がしないという(自社に有利な契約をする)
- レインズに登録しない(他の不動産会社が参加しないように)
- 売ってるフリをする(仲介活動していない)
- 業務報告がうそっぽい(仲介活動していない)
- 価格を下げて仲介している(合意した売り出し価格の無視)
- 内見客がどうもニセっぽい(仲介活動していない)
- 売主が売却価格を下げるのを待つ(すぐ売れる価格に下げたい)
- 媒介契約期間の終了期限が近づいても何も言ってこない(3ヶ月間の自動更新を狙う)
- 媒介契約期間が過ぎると自動更新になっているという(3ヶ月では売れる自信がない)
- 追加広告を有償で打たないかの要求(自社で持ちたくない広告費)
- やたら経費を請求する(事前に相談なく架空請求も)
- 媒介契約を解約したいというと損害金を要求(売主が媒介契約条項の無知に便乗)
- 会社の領収書を出さない(金員受持しても証拠を出さない)
- 印鑑証明や権利証を預かるという・・・(これは勝手に名義変更なども)
など、厳しい目での牽制も必要でしょう。何でもおまかせは大損になります。
③媒介業務の一般的な範囲は
売却の場合の媒介契約で引き受ける一般の業務範囲は
- 物件調査
- 価格査定
- 買い手探索
- 買い手側との交渉
- 売買契約締結と書面交付
- 決済、引渡し
です。大事な財産である不動産の売却ですから、トラブル時には少なくとも物件価値くらいなら十分に補償能力がある不動産会社と媒介契約しましょう。
不動産売却の媒介契約書の書式
法的な文書ですので、結構細かいです。できれば事前にいただいて眼を通しておくのが賢い対応です。国土交通省の標準とは違う追加部分を中心に説明しもらうのも効率的で良いです。何も疑問提示しなく、対象の文言を修正しない限りは合意したものとなります。
①雛形としての標準書式
媒介契約書は国土交通省の定めた「標準媒介契約約款」を雛形としていて、これに自社の追加条項が追加で記載されています。この媒介契約書の表紙には「この媒介契約は国土交通省が定めいてた標準媒介契約約款に基づく契約です。」となっています。
しかしこの条項以外に必ず各不動産会社が個別に追加した条項がありますので、説明を求めてよく確認してください。
不動産売却における義務
不動産会社側の義務はもちろん、売主側も義務を守るよう注意が必要です。媒介契約書で不動産会社と売主には大まかに次の義務が記載されています。
①不動産会社の成約に向けての義務
- 相手方の探索、条件の調整、売買契約の成立に努力する
- 売却業務の処理状況の報告義務
- 指定流通機構への登録と登録済み証明の書面交付
②売主としての義務
- 他の不動産会社に相談なく依頼したり媒介させない(違約金の可能性も)
- 不動産の売却時には約定の報酬額を支払うこと
- 少なくとも媒介契約期間中は信義を守る
媒介契約の流れ
悪意の変造防止として、一般の契約書での常識は覚えておきましょう。
- 契約書は2冊作られて、1冊づつ売主と媒介契約する不動産会社が受け取る
- 契約条項の訂正や追記は両者合意の上で所定ページの項目横に手書きで「○文字訂正」等として記入し両者押印
- 体裁は一般に云う「袋とじ」とし、表紙とじ部分や各ページ継ぎ目に両者割り印
などです。同じ契約でも売買契約書には印紙税法上で印紙が必要で、これに両者割り印が必要です。実印はなくても問題ありません。
①専属専任媒介契約書
契約特約事項などの条項が「特約事項」などで追加されている場合は注意が必要です。 媒介契約締結時に内容の確認と納得をしておくことが必要です。
よくあるのは
- 媒介契約期間が過ぎた時の更新で売主から文書での満了(打ち切り)通知義務がある
- 売買契約成立後の売主または買い主都合での解約時には所定の仲介手数料の支払い義務がある
などです。以下媒介契約書にチェック入れや記入が必要なものを列記しました。
- 年月日、依頼者(甲)、不動産会社(乙)の住所、記名押印(不動産会社名やID確認もしましょう)
- 売却依頼の内容
- 売却業務(業務の報告は文書かメールか、1週間に1回かそれ以上か)
- 指定流通機構(レインズ)への登録期限(5日以内か、それ以下か)
- 【媒介に係る業務】(一般的なもの)
- 【違約金等】(解約時の違約金説明)
- 【有効な媒介契約期間】(普通は3ヶ月で)
- 【約定報酬額】(成約価格の3%+6万円と消費税額)
- 【約定報酬の受領の時期】(売買契約時と最終決済日)
- 【特約事項】(ここは良く聞いて理解してください。)
- 【別表】所有者、登記名義人、所在地、目的物件の表示、本体価額、媒介価額、備考欄、署名欄
②専属専任契約約款
媒介契約書の後ろに付随しているもので、契約書とセットで媒介契約になります。これは約款部分で契約当事者にとっては共通の守るべき項目が記載されています。生命保険の約款と同じようなものですが、文字は通常の大きさなので、精読も可能です。
この書式も国土交通省の標準雛形部分に、各社個別に特約条項が追加されています。たとえば第17条が(反社会的勢力の排除)とかですね。また参考として末尾に不動産売却の仲介手数料の報酬表を記載している会社もあります。
各条項で代表的なものは
- (宅地建物取引業者の義務など)第4条
- (媒介価額の変更の助言な等)第5条
- (有効な媒介契約期間)第6条(通常は3ヶ月、記載なくても法的に3ヶ月を超えられない)
- (報酬の請求)第7条
- (報酬の受領の時期)第8条
- (特別依頼に係る費用)第9条※(標準広告以上の広告費の追加など、標準の確認を)
- (直接取引)第10条※(あなたがお客を探したときの仲介手数料は)
- (違約金の請求)第11条※(どんな具体的な違反があるのか確認を)
- (費用償還の請求)第12条※(あなたのどんな行為がこの対象かを確認)
- (更新)第13条※(3ヶ月が終わるまでに、解約通告かあと3ヶ月間を依頼する)
- (契約の解除)第14・15条※(どんな場合にあなたから解約ができるか、費用請求されない確認)
- (特約)第16条※(よく説明してもらうこと)
- (反社会的勢力の排除)第17条
- (参考)媒介報酬の限度額表(手数料の値引きがなぜないか、どんなときにあるのかの確認を)
※は意見が分かれるので、後に紛争にならないように説明を良く聞くことが必要です。
不動産売却における媒介契約は、売主の真剣な対応が不動産会社の手抜きを防ぎ、早く希望価格で不動産を売却できることにつながります。
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