初めて家を売ろうと考えている方に向けて、その流れと期間を分かりやすくまとめました。家の売却では慌ただしく準備したり、不動産会社がどのように家を売ってくれているのか見えないため、本当に仕事しているのか不安になることもあります。
売却したビルの空調設備が修繕不可能な場合でも、瑕疵とは認められなかった裁判例
空調設備の修繕不可能な場合、瑕疵に該当するかを問われた裁判です。必ずしも瑕疵に該当しないわけではありませんが、築年数相応の老朽化は買主側で予測すべきであると考えるべきです。マンションや一戸建ての売却でも、売主としては安心できる判決でした。
中古ビルを売却後、「空調設備が老朽化している」ことは瑕疵だと訴えられた事例です。中古ビルの売却を行う際の「瑕疵」に対する考え方における重要なケースですのでご紹介いたします。
訴えの内容と解説
- 買主は各階を区分所有建物とする建物の一部の階を購入
- 専有部分の空調設備が老巧化して、修繕不能だった
- 買主は売主に瑕疵担保責任、売却仲介をした業者に不法行為責任に基づき、損害賠償金の支払を求めた
- 裁判所は買主の請求を棄却
- 売主には設備の老朽化は、売買において予定されていた品質・性能を欠いていたということはできないとした
- 仲介業者には調査、説明すべき義務を負っていたとはいえないとした
売主Aは保有していた区分ビルの2フロアを瑕疵担保特約を締結した上で買主Bに売却を行いました。
その後Bは購入したビルにテナント募集を行う際調査したところ、空調設備が老朽化しており、またその空調設備機能はビル一棟を一括して管理するものであり、かつその提供企業が倒産していたため部品交換による修理は事実上不可能である、という状況でした。
そこでBはAに「重要事項説明において、空調設備については何らの説明も受けておらず、空調設備が上記のようなものであることを知らなかった。」としたうえで「Aは本件各建物を長年にわたり使用していたので、空調設備の瑕疵について悪意である(※)ことは明らかであるから、瑕疵担保責任免除特約に基づく免責は認められない。」という訴えを起こしました。
※法律上での善意・悪意とは「善悪」ではなく、(過失を)承知していなかった=善意・していた上で放置した=悪意、となります。
判決と概要
結論から申し上げるとBの請求は棄却され、設備老朽化による瑕疵の認定は認められませんでした。
裁判所は「本件各建物のように、新築から長期間が経過したテナントビルの売買においては、これに付帯する空調設備も相応の経年劣化があり、上記のような問題点が存することは、容易に想定し得るものである。」と判断しました。
これにより「本件各建物が売買において予定されていた品質・性能を欠いていたということはできず、民法570条にいう瑕疵があるということはできない。」としました。
つまり、「築年数が古いビルは設備も当然古いものであるというのは常識的に考えてわかる話である(=それを承知で売買している)」という結論です。
実務上での活用とポイント
今回の判決において中止すべき点は設備の件が「重要項目による説明」「瑕疵担保特約による回避」両方に一切触れられていない、ということです。つまり設備が建物築年数に応じて古いのは常識的に考えてわかる話なのでいちいち説明する義務もなく、さらに瑕疵であるとすら認められないということです。
この判例は中古ビルを売却する際「設備施設について逐一調査し、また責任を負う必要がない」ということを示された貴重な例です。築年数が経過したビルを売却する際のご参考にお役立てください。
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