収益物件の利回りが嘘だった場合、瑕疵に該当するとした裁判例

収益物件の利回りが嘘だった場合、瑕疵に該当するとした裁判例

収益物件には利回りの説明がありますが、この数値が明らかに嘘であった場合は損害賠償請求ができることを示した裁判を紹介します。提示する利回りで家賃収入が得られたか、もしくは得られる根拠がなければ、裁判に発展する可能性がありますので注意しましょう。

収益物件を売却する際、どれぐらいの利回りで賃貸が可能かという情報を公開し、それをベースに取引が行われます。この利回りですが、収益物件には不動産価格の根拠・基準になるという判決が出ており、提示した家賃で入居が入っていない場合、それは物件の瑕疵に該当します。

収益物件の利回りが虚偽だった

  • 買主は収益物件の利回り(家賃収入)が全く得られなかった
  • 買主が収益物件の賃貸の可能性がなく、瑕疵があるとして売主に損害賠償を求めた
  • 収益物件の価値に隠れた瑕疵があったと裁判所は認容した

訴えの内容は収益物件の買主Aが売主Bを瑕疵および債務不履行により損害賠償を求め、一部が判決で認められた、という内容です。当初Aはサブリース(借り上げによる家賃保証)付の商業ビルの広告を見て、売主Bの会社に連絡、話を断ったものの、その後Bからの執拗な勧誘もあってサブリースを前提として購入を行ったのが売買までの経緯です。

購入後、収益物件に入居は全く入らず、またBからの借り上げによる利回りも得られなかったため、Aが支払いの請求したところ「賃貸が入っていないので払えない。サブリース契約は解除する」と一方的に通告を行いました。これに対して、Aが裁判に持ち込み論争になったという流れです。

収益物件の利回りの説明

この訴えに対し裁判所は

  • 収益物件は入居により家賃を得るのが前提であり、売買前から想定利回りで入居が入っていないのは瑕疵に当たる
  • サブリース契約は結んでいるが、利回り保証の収益物件を提供する債務があったとは認められない

という判決を下しています。つまり裁判所は想定した利回り(家賃)で入居が入っていないのは瑕疵であることを認めた判決です。

今回判例が出たものは極端な例ですが、実際に良くあるケースを想定してみましょう。収益用不動産の価格決定方法の一つに「収益還元法」というものがあります。これは1年分の家賃を想定利回りで割り戻して不動産価格を決める方法です。

例えば家賃が月々10万円、利回り5%の収益物件の価格は

(10万円×12か月)÷5%=2400万円

となります。

これを募集時、家賃が15万でも入居が入ると嘘をついて収益物件の価格を設定した場合は

(15万円×12か月)÷5%=3600万円

となります。こういった例に対して、家賃が15万円入る前提で購入したのに10万円しか入らず、想定した利回りが得られないので瑕疵だと主張できると示されたのが今回の判例です。

売買時、現在入居の家賃額をキッチリと調べたのか、家賃の設定は相場とあっているのか、確認事項をしっかり行ったかも基準になりますが、収益物件は想定した収益が入らなければ瑕疵とみなされます。つい売りやすくするため、もしくは売却価格を上げるために家賃は高めに設定したくなりますが、裁判になることがあるので正確に算出・記載するようにしましょう。

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