瑕疵担保責任の特約に、期間短縮の条項を入れるのは有効なのか

瑕疵担保責任の特約に、期間短縮の条項を入れるのは有効なのか

瑕疵担保責任の特約に関する裁判をご紹介します。土地の売却で土壌汚染が発覚した際に、瑕疵担保責任の特約に期間を3ヶ月に短縮した条項は有効なのかを争った裁判例です。裁判所は消費者契約法10条を根拠に、この特約を無効としました。

瑕疵担保責任の特約に関する、期間および消費者契約法第10条の裁判例をご紹介します。消費者契約法第10条とは条文にて「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」と記載されている項目で、瑕疵担保責任の特約に「責任を負う期間を合理的な理由なく短縮する」項目を入れるのは有効かを争ったのが今回の事例となります。

瑕疵担保責任の特約に関する裁判

  • 買主は土地を購入したが、土壌に鉛が検出される等があった
  • そこで瑕疵担保責任を理由に売買契約の解除、売主に代金等の返還を請求
  • 売買契約には瑕疵担保責任の追及は引渡日から3ヶ月以内とする特約があった
  • 買主は3ヶ月後に請求したため、売主は争った
  • 裁判所は瑕疵免責特約は、消費者契約法10条に違反する無効なものであるとした
  • 買主の鉛等の除却費用の請求を一部認容

買主Aが法人の売主Bに対して、購入した土地に瑕疵があったとして瑕疵担保責任を理由に売買契約解除を申し出たものの、売買契約には「瑕疵担保責任の追及は引渡し日から3か月以内」という特約があったために拒否した事例です。買主Aは「宅建業法より、瑕疵担保責任を1年以下とする特約は無効であり、また消費者契約法10条にも違反している」と訴えました。

特に複雑な事情等はないので結論を申し上げると、裁判所は買主Aの主張を一部容認し、瑕疵担保責任による損害賠償請求は認めました。しかし「(適切に対処すれば)住宅を建造することに問題があるとは言えない」として、契約解除は無効としました。

瑕疵担保責任と消費者契約法

瑕疵担保責任だけに限らず、消費者契約法によって不動産の売買契約にも「一方的に消費者に不利な特約は無効となる」事例を示した判決と言えます。

売主側の対策としては買主に不利な特約を加える場合、合理的な理由を設定する必要があります。このあたりは売主の立場とそれぞれの売買状況を総合的に判断して決定されるため、一概に「こうである」という結論を出すことはできませんが、契約書作成の一つの指標になる判例です。

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