今から10年後における、家やマンション等の不動産価値と売れる可能性

今から10年後における、家やマンション等の不動産価値と売れる可能性

今から10年後のマンションの資産価値について考えてみました。人口減少の時代には、多くの建物の資産価値は下落します。溢れかえった建物の中で、10年経っても大きく下落しない建物は、他と比べて買い手それぞれが求めるモノがなければいけません。

今回ご紹介するのは、「子供の学業が終わる頃、10年後くらいに地方への移住を考えている、その頃にはマンション市場がどうなっているのか不安。売れる可能性はあるのか、資産価値はどの程度低下しているのか」という不安を感じておられる方からのご相談への回答です。

参考記事:「家の寿命」中古住宅は新築と築10年でどれくらい価値は変わるのか?

売却は可能!しかし買い手は減少

都心ではオリンピック効果もあり、ここ数年のマンション市場は活況を呈してしますが、この状態がいつまでも続くとは考えない方がいいでしょう。一番の問題は人口の減少です。人口の減少問題は地方だけではありません。もはや東京23区以外の市町村全体にもみられるようになっています。

23区以外の市町村と葛飾区は、2015年を増加のピークとし2020年には全ての地域で減少。品川区・目黒区・大田区・渋谷区・中野区・杉並区・豊島区・北区・板橋区・足立区では2020年を増加のピークとし2025年には減少します。

仮に大田区の人口の推移を挙げますと、

2015年669,444人
2020年701,023人
2025年697,935人

となり、2025年には2015年より1509人の減少がみられることになります。

生産年齢人口の激減

ただ、人口が減少するだけではありません。少子高齢化にともない生産年齢人口が激減するのです。マンションを購入する最も多い年齢層は30代、40代の世代ですが、東京都全体をみても、現在の40歳~49歳は2,241,681人、30歳~39歳は2,069,816人、20歳~29歳は1,636,509人となっており、10年後の30代40代の世代が激減します。

さらに20年後は現在の10歳~19歳の人口が1,045,348人となっているため、

現在の30代40代の世代4,311,497人
10年後の30代40代の世代3,706,325人
20年後の30代40代の世代2,681,857人

となり、東京都は今後の10年で60万人以上、更に20年後は10年後の100万人以上の30代40代人口が激減することになります。

懸念されるマンション空き家率

そして懸念されるのが、マンションの空き家率の増加です。現在でも世田谷区のマンションの空き家率が12.8%という調査結果も出ています。その上2017年のマンション供給は前年比6.4%増の38,000戸と予測されています。

空き家が増加している中で供給が増加するということは明らかに供給過多。しかも空き家率が高いのは人口が増加している地域ほど高いというのだから、供給戸数の増加が原因といえるでしょう。

10年後は現在より大幅に空き家率が増加していることは、想像に難くありません。

マンションの値下がりは必然


『オリンピックバブル』という言葉も聞かれるように、都心はミニバブルの様相を呈しています。人件費や材料費の高騰から、マンション価格も高騰。一部のエリアでは中古マンションでも新築時の価格より上昇している地域さえあります。しかし急激に上昇したものは必ず反動があります。

2020年の東京オリンピックの開催を待たずに、バブルが崩壊するとみている人もいます。また既にその兆しが見えつつあると言う人もいるようです。しかし別の見かたをする人は、急激なバブル崩壊には至らず、緩やかな下落を辿るだろうとする人もいます。

10年後を予測することは難しいですが、マンション価格の下落は急激だろうと緩やかだろうと、必然の理だということでしょう。

売ると買う、差し引きして考える

ここまでを読んでいただければ、暗澹とした気持ちになっていることでしょう。未来は決して明るくはなく、自宅マンションの資産価値が大幅に低下する可能性があると聞けば無理はありません。しかしものは考えようです。東京から離れ、地方に移住しようと住居は必要です。

親の住居があるなら別ですが、そうでない場合は新たな住居を手に入れなければなりません。そこで、地方で住宅を購入するということを前提に、現在の住居を売却するという考えなら、差し引きはマイナスではなくプラスと考えられなくもないでしょう。

その理由は、地方の住宅価格の下落率と三大都市圏の下落率の格差が大きく広がっているからです。2016年7月時点での住宅地変動率の調査によると、東京圏と名古屋圏では0.5%の上昇、大阪圏では前年度と変わらず、地方圏ではマイナス1.2%となっています。地域によっては8~9%というところもあります。

売ることだけを考えると、難しい時代になりますが、買うことを合わせて考えると、どのような物件も選り取り見取りの買い手市場なのです。

10年後であっても、20年後であってもマンションの買い手がゼロになるわけではありません。減少はしても買い手はいます。しかし、今現在予想しているマンションの売却価格とは乖離している可能性が大きいでしょう。

売れるか売れないかは、価格によります。またマンションのメンテナンスや管理によっても違いがあるでしょう。今現在言えることは、マンションの資産価値が少しでも落ちないよう、マンションの性能を維持・管理していくことをおすすめいたします。

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