暴力団の入居者に対して、退去勧告が問題ないと判断された裁判例

暴力団の入居者に対して、退去勧告が問題ないと判断された裁判例

市営住宅の入居者に暴力団がいると発覚した場合、退去勧告を行えると判断された裁判をご紹介します。市営住宅のため、異なる部分はありますが、不動産賃貸業を営まれている方は参考になる部分があるかもしれません。

市営住宅において暴力団関係者が入居しており、退去勧告を行うことに関して憲法上問題ないと判断された判例です。

  • 市営住宅の賃貸借契約
  • 市が暴力団員と判明した入居者に対して明渡しを請求
  • 市営住宅条例「入居者が暴力団員であることが判明した場合には明渡し請求できる」の条項に基づく
  • 入居者は憲法14条1項(法の下の平等)および22条1項(居住の自由)違反を主張
  • 憲法に違反しないとして、市の明渡し請求が認められた

第1665号 建物明渡等請求事件

訴えの内容と概要

市が社会福祉の一環として運営する市営住宅において暴力団関係者が入居しており、それが判明した時点で退去を申し渡しました。

それに対し暴力団関係者は以下のように主張し、市に対して訴えを起こしていました。

  1. 本件規定は合理的な理由のないまま暴力団員を不利に扱うものであるから、憲法14条1項に違反する
  2. 本件規定は必要な限度を超えて居住の自由を制限するものであるから、憲法22条1項に違反する
  3. Y1は近隣住民に危険を及ぼす人物ではないし、Y2およびY3はそれぞれ身体に障害を有しているから、本件住宅および本件駐車場の使用の終了に本件規定を適用することは憲法14条1項または22条1項に違反すると主張する。

「憲法14条における法の下に平等である」「憲法22条における住居転移の自由」に違反する、という旨で「退去勧告は無効である」という訴えです。

訴え破棄と裁判所の見解

冒頭にあるように上記の訴えは破棄され、市の「退去勧告」が有効であると認められました。暴力団関係者の退去および入居者選別にたいする裁判所の見解は以下です。

  • 当該住宅に入居させまたは入居を継続させる者をどのようなものとするのかについては、その性質上、地方公共団体に一定の裁量があるというべきである
  • 法の下に平等であるとはいえ入居の継続・もしくは入居条件に関しては市営住宅を運営する地方公共団体に裁量がある

また今回のケースの場合、入居に際し「反社会勢力に関係する場合退去させる」という旨の条項も確認し、同意を取っていたため特定個人の自由を侵害するものではない、とされました。

次に「住居転移の自由」に関する訴えに関しては以下です。

  • 暴力団員は、集団的にまたは常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体の構成員と定義されているところ、このような暴力団員が市営住宅に入居し続ける場合には、当該市営住宅の他の入居者等の生活の平穏が害されるおそれを否定することはできない
  • 他方において、暴力団員は、自らの意思により暴力団を脱退し、そうすることで暴力団員でなくなることが可能であり、また、暴力団員が市営住宅の明渡しをせざるを得ないとしても、それは、当該市営住宅には居住することができなくなるというにすぎず、当該市営住宅以外における居住にまで制限を受けるわけではない

まとめると「暴力団に所属しているのは自分の意志であり、他の住民に被害が及ぶ可能性がある」ため退去勧告は至極当然だ、としたうえで「市営住宅以外における住居にまで制限を受けているわけではない」ため住居転移自由の侵害には当たらない、としています。

これらよりあくまで「市営住宅における判例」ではありますが、入居者が暴力団関係者であるということを理由に退去勧告をすることは「憲法違反ではない」という判例を最高裁が示した例として、上記が注目されています。

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