郊外にある古い一戸建てを相続した場合、更地にして売却した方が良いケースとは?

郊外にある古い一戸建てを相続した場合、更地にして売却した方が良いケースとは?

昔、両親と住んでいた一戸建て。その一戸建てを遺産として相続した時、住まないのであれば売却を考えるかと思います。しかし古くなった一戸建ては耐用年数を超えており、建物に価値がないと判断されることがあります。そんな時、どんな問題が生じるかをまとめていただきました。

「相続した家を売りたい・・・でも、古くなっているのでどうすればよいのか分からない。」今回はそういった方に向けた築年数が経過した地方・郊外一戸建て物件のケースです。条件は以下です。

  • 一戸建てを相続
  • 築30年以上
  • 木造
  • 「地方都市」もしくは「郊外」

相続不動産の売却

古い物件売却は「融資がつくか否か」が重要

不動産を売却する際、ついつい売り手側の都合ばかりに視点が行ってしまいがちですが、古い建物を売却する際は「買い手側が融資を引っ張ってこれるか」という要素が大切になってきます。

通常、不動産における融資というのは「土地と建物の価値」を担保として評価されます。万が一借り手が返せなくなった場合不動産を差し押さえ、金融機関が売却することで「回収不能のなったローン」を回収する、というのがこの評価プロセスの意味合いとなります。

ここで考えていただきたいのは「建物に価値が無かった場合」、つまり「経年劣化などで価値が0円」もしくは「解体などが必要で、実質的にマイナスな場合」です。こういった場合、良くて建物の価値は0円、つまり土地の評価のみが「融資限度額」となります。

地方や郊外の土地で、尚且つ建物が場合によってはマイナス価値となると、金融機関としては融資は非常に難しくなります。そして当然融資が付かなければ「不動産を現金で買えるような財力」が有る方以外は販売対象とならず、「売却先」窓口はぐっと狭くなります。

例えば「土地の評価額が1000万円、建物は古く、価値が0」の不動産があったとします。このまま単純に評価額をみるなら「1000万円」ですが、建物はそのままでの利用は難しく、解体に300万円掛かるとします。そうなると当然融資評価も「700万円」となり、300万円の現金を出せるか確か購入できません。

あくまで今回は一戸建ての例ですが、さらに解体費用が嵩むマンションやアパート・工場などの場合はさらにマイナスになる可能性というのも十分に考えられます。

これが「古い物件」を処分するときに良く引っかかってしまうポイントです。

「現状売却」と「更地売却」のメリット・デメリット

築年数が古い建物を処分する場合、「現状売却」と「更地売却」という2つの選択肢があります。

「現状売却」とは文字通りそのまま、「建物を残した状態」で売却を行う事です。売り手としては「解体費用」など余計な出費が省かれる反面、上記の「融資が付かない不動産」の場合、購入できる対象自体がかなり少なくなります。

もう一つが「更地売却」。こちらは価値が0、もしくはマイナスの建物を「解体」してから更地として売却する方法で、解体後の必然として「マイナスの資産(建物)」が減るため融資が付きやすくなります

その一方で売り手側は余計なコストを負担しなければならず、実質的に「建物のマイナス分」は自分自身で被らなければいけないということになります。また建物が無い場合、あった場合と比べ固定資産税が3~4倍になってしまうというデメリットもあります。

解体工事の費用と相場

依頼業者や地区、建物の構造、坪数などによって変わってきますが、基本的には安くて坪2万円、高くても4万円台中盤ほどです(2016年現在の解体業者平均価格調べ)。

参照:http://www.polaris-hs.jp/kiso_chishiki/kaitaikozi_top.html

但し解体というのは撤去料金だけでなく「作業員の賃金」によってもかわってきます。そのため不動産市場自体が元気で、工事需要が多いときには上記の額より高額になる可能性も十分にありえます。

更地にした場合の税金

基本的に、「更地にした場合は固定資産税が3~5倍」に上昇します。

理由としては「更地が高い」のではなく、「家屋が建っている土地には減税措置」がなされているためです。これは「開発されずに放置される土地」を減らすことを目的として導入されている措置で、小規模宅地(200㎡までの土地)については課税標準を6分の1、一般住宅用地(200㎡を超えでかつ住宅の床面積の10倍まで)については課税標準が3分の1となります。

ちなみに固定資産税というのは「土地の時価」によって決まるため、「3年ごとに価格は見直されます」。そのため一概に「この土地はいくらである」とは言えません。

「更地対応可」で間口を広げよう

最後に「更地とそのまま売り、どちらがよいのだろう?」と迷っておられる方への裏ワザをご紹介いたします。それは不動産を「現状売却」のまま売りに出し、特記事項などに「更地渡しも可能です」という旨を記載するという方法です。

あらかじめ「解体価格」を見積もっておき、それに応じた買いたい費用を「解体私の場合、購入金額から差し引く」という契約形式にしておけば「現状のまま買いたい方」「更地で欲しい方」両方に訴求することができ、売買窓口が拡がります。

但し注意点として、「特記事項」をキッチリと目に付きやすい部分に記載しなければ効果が薄い方法ですので、そのあたりは工夫が必要です。

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相馬さん(仮名・20代)
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主に空室のマンション売却を仲介。売主の仲介がメインだったため、数多くのマンション売却を仲介。オススメの不動産会社は三井不動産リアルティ・東急リバブル・ソニー不動産。

主な不動産
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平均売却価格
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