住宅売却における相続時精算課税制度とは

住宅売却における相続時精算課税制度とは

住宅の売却における相続時精算課税制度の解説をしています。相続した不動産の売却には譲渡所得税が掛かりますが、様々な制度や控除が存在しています。その中の相続時精算課税制度で、どんなメリットがあり、注意点があるのかを紹介します。

不動産を購入する際、「頭金」に相当する資金を親族に求めるという事例があります。こういった資金のやり取りを行うため、「贈与における相続精算課税制度」というものが用意されているのですが、取り扱いが複雑で、利用者が少ないというのが現状です。

今回はこの制度と不動産売買での活用方法についてご紹介いたします。

贈与における相続精算課税制度とは?

相続時精算課税とは一言でいうと、「相続税を前払い(仮払い)することで相続資産を生前贈与する」という制度です。財産の贈与が行われた場合、その翌年の3月15日までに贈与税申告をする義務が発生します。この時、贈与税納付は「還暦課税(通常の贈与税課税)」と「相続時精算課税」のどちらかを選択することができます。

基本的に「相続時精算課税」においては一定の直系親族間の贈与に限られ、かつ年齢制限があります。ですが、これらの要件を満たしている場合でかつ多額な資金を生前に移転する場合、非常に有利な制度となっています。

「還暦課税」と「相続時精算課税」の違い

相続時精算課税は「不動産購入の頭金」のような、多額な資金を転移する場合に有効な手段です。還暦課税の場合、毎年110万円までの贈与は申告不要でかつ贈与税がかかりません。少額の贈与の場合はこちらをよく利用されます。

それに対し「相続精算課税」は2500万円までは非課税で贈与できる、というメリットがあり、一括して大きな資金を贈与する場合、かなりのメリットが出せます。ただし適応要件として、「贈与者」が60歳以上の親または祖父母、「受贈者」が贈与者の推定相続人である20歳以上の子または孫であることが求められます。

相続時精算課税を活用する際の注意点

但し、一度この「相続時精算課税」を利用した場合、それ以降還暦贈与(110万円の非課税枠がある贈与)は一切行えなくなります。これを利用するか否かは「贈与税申告時」に選択できますが、一度選択すれば上記の非課税制度は使えなくなってしまうため、取り扱いには注意が必要です。

また不動産相続において有利な制度である小規模宅地等の特例が受けられなくなるというデメリットも存在するため、実行には税理士などの専門家との調整が必須な項目となります。

実際の制度を活用した場合の流れ

資産1億円で、なおかつ相続時精算課税を利用した場合の実際のお金の動きを記載します。

○○年に1500万円贈与し、「相続時精算課税」を利用開始

1500万円までは非課税なので、贈与税支払なし

翌年、さらに1500万円を贈与

→2500万円の枠を超える、500万円にのみ贈与税課税。贈与税率が20%なので100万円の納税

父が死亡し、相続が発生

課税資産=父の持ち分資産+贈与分-基礎控除額(3000万円+600万×法定相続人数)
=7000万円+3000万円-3600万円
=6400万円

この6400万円に対し、相続税課税が行われます。相続税率20%として、6400万円×20%=1280万円となります。通常ならばここで計算は終了ですが、さらに「精算課税」、つまり生前に支払っていた贈与税額の100万円納税分を差し引いた1180万円が相続税納付額となります。

つまりこの制度は「相続税先払い分を贈与税という形で事前納付していたもの」という事になります。

実際に制度を活用すれば有利になる事例

では、「不動産の頭金としてまとまった額が欲しい」場合にこの制度を利用して、「通常の相続制度時よりも有利になる方」というのはどういったかなたのかを最後に解説します。それは相続税が基礎控除額内に収まる方です。

相続資産額が3000万円×600万円×法定相続人、の式で計算される方の場合、相続税は当然0円となります。相続税精算課税は「相続税の先払いを贈与として行う制度」ですので、事前に支払っていた2500万円の枠の超過分(上記の例の場合100万円)は全額、税金還付されます。

ですので実数としては、保有資産5000万円前後の親族からまとまった不動産購入資金の贈与を受けるという事例に良く活用され、二世帯住宅を購入する場合などに利用することで非常に大きなメリットが得られます。
ぜひともご参考にしてお役立てください。

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