住宅ローンの毎月の返済額は変えずに、住み替える場合の借り入れ上限

住宅ローンの毎月の返済額は変えずに、住み替える場合の借り入れ上限

今の家を売却して、より快適な住宅に住み替えるために住宅ローンを組んで買い替えする場合、返済額や金利などお金に関する内容で注意することがあります。今回は子育てが一段落し、少し時間に余裕ができた夫婦が家を買い替える時、新たに購入した家の借り入れ額の上限を解説しています。

今回は以下の住み替え条件の方の場合を考えます。

この方が月々の住宅ローンの返済額を変化させずに「家の住み替え」を行う場合、「購入可能な不動産の価格」をご案内します。現在借りている住宅ローンを完済し、住み替えの為に「2100万円分」の新規融資を組んでも、月々の住宅ローン返済額は変わりません。融資年数が15年ほど短くなるにも関わらず、こちらの水準となります。

まずは現在の月々の住宅ローンの返済額ですが、上記の条件を元に算出すると支払額は約8万9000円ほどになります。

ここから逆算して、「現在の金融機関が提供している住宅ローン条件」を元に算出を行い、月々の住宅ローンの支払いが「8万9000円」前後で収まる額はいくらぐらいなのかを計算することで、「出費を変えずよりよい住宅環境に住み替えできる」金額を計算することができます。この金額が先に述べた住み替えの為の「2100万円」です。

2016年現在の融資水準ですと固定金利2年となり、かなり安くなります。また融資期間ですが、住宅ローンは69歳までに全額返済しなければならないという契約条件があるため、49歳というご年齢から最大で20年となります。

この所定の条件で「月々の返済額」が8万9000円前後になる金額を計算すると「2100万円」となります。これらより「前の自宅を売却して住宅ローンの相殺が出来る」という前提であるならば新たに「2100万円借り入れて家を住み替えて、生活コストも替えない」という計画を立てることができます。

前提として、現在保有されている物件の住宅ローンを「完済」出来るレベルの査定価格で物件が売れる保証がある、もしくは住宅ローンを完済できるほどの預金が口座に用意できていなければ「買換え」をしてもメリットが薄く、住み替えの為の資金繰りも厳しくなってきます。

今回の住み替えケースですと残債は約1900万円残っています。これを完済せず住み替えすることでご返済負担が単純に2倍となってしまうため、生活は非常に苦しくなります。

住宅ローンというのは基本的に、返済資金が「利息相当分」から先に充当されていくというシステム上の理由から、「元本(借入金額)が減りにくい」というあまり知られていないリスクがあります。

そのため、今回の住み替えの事例でも融資を受けてから18年たった時点でも、当初借入残高2000万円から「100万円」しか減っていないということになります。もちろん一戸建てやマンションの購入価格や土地の価格によっては「値上がり」している可能性もありますが、基本的には値下がりしているという前提で考えた方がよいでしょう。

そのためマイホームの「住み替え」にはある程度まとまった資金が必要である可能性が高い、というシビアな現実が見えてきます。

「住宅を住み替える」と一口にいっても、実際のお金の流れに着目するとかなり複雑です。

なぜなら、家を住み替える為に新たに「買い換え」を行おうということはつまり「すでに住宅ローンをご利用している」という状態のため、新たにお客さまが「住宅ローン」をダブルで申し込むことは不可能です。そのため「現在の持ち家を売却後、ローンを完済してから住宅ローンを新たに組む」というプランと「住宅借換えローンを活用する」というプランがあります。

今回は最もお手軽な「住宅借換えローン」を使った場合をシミュレーションしてみましょう。

住宅借換えローンとは「現在組んでいる住宅ローン」と「買い換える家のローン」を一括して引受け、まとめて融資を行ってくれるというローン商品です。そのため「前の住宅の売却先を探しながら、住み替える家を買う」という方法が可能となるため、特に複雑なことを検討しなくても家の住み替えを行う事が出来ます。

ただし、「ローンの残債自体は新しい家一件分増える」というのが注意が必要です。あくまで前提は「前に住んでいた家が中古で売れれば、それを繰上げ返済に充てる」というのが前提です。例えば今回の場合、月々の返済が変わらない「2100万円」の住み替えの為の新規借入+「住宅ローン残債1900万円」で合計「4000万円」を借り入れたとします。

上記の現在の金利条件と期間を元に計算すると月々の返済額は「約17万円」。ローン返済による月々の生活コストが約2倍となってしまった形です。こういった状況にならないためにも、「余裕資金」や「売買先の選定」など、様々な内容の手法が必要となってきます。

最後に「住宅ローンの借換え限度額」についての情報をお伝えします。基本的にローンというのは「額面年収の6~7倍」が上限となっております。例えば年収が700万円ぐらいの方でしたら、最大で4200万円から4900万円ほど、ローンの「枠」のなかでお申込みが可能だということです。

もちろんこれは住宅ローンや学資ローン、車のローンといった「健全である」と評価されているローンの場合で、個人的にカードローンや消費者金融借入などがあるときは信用が減り、ご融資の審査条件がさらに厳しくなりますのでご留意下さい。

基本的に「家の住み替え」というのは住宅ローンを追加で組めなければ実行できないものです。今回の住み替えケースの場合、新たに4000万円の住宅ローンを組む必要があるため、他にローンを使っていないという前提でも年収は650万円前後必要となってきますので、貯蓄や将来をふまえて慎重にご検討ください。

参考記事:マンションを売却して住み替える費用

Step0
不動産の売却前にまず査定

イエイは約1分で複数の不動産会社に査定できる一括査定サイト。不動産会社によって500万円以上、査定価格に差がでることもありますので、買取をお願いする人は特に比較しましょう。

また全国1000社が登録しているので、売却や買取できる会社がきっと見つかります。

不動産売却の悩みはイエキットへ

現役・元不動産仲介担当者やFPが、あなたの疑問に回答します。

住宅ローンや離婚、相続、住み替え等、様々な不動産のお悩みに対して、イエキットが提携する不動産関係者が無料でアドバイスをしています。

不動産売却前に知っておきたい知識

  • 期間で見る、家の売却の流れ
    期間で見る、家の売却の流れ

    初めて家を売ろうと考えている方に向けて、その流れと期間を分かりやすくまとめました。家の売却では慌ただしく準備したり、不動産会社がどのように家を売ってくれているのか見えないため、本当に仕事しているのか不安になることもあります。

  • 【不動産の査定】売却査定と査定の種類
    【不動産の査定】売却査定と査定の種類

    不動産会社に連絡を取ると、まず最初に査定を行うことから始めます。査定はあなたの不動産と似た条件の不動産から算出し、実際に不動産を見て補正して算出します。

  • 【不動産売却の媒介契約の種類】手数料と書類の内容
    【不動産売却の媒介契約の種類】手数料と書類の内容

    不動産売買時の媒介契約には一般・専任・専属専任の3種類があります。それぞれに特徴はありますが、一般か専任で悩むことが多いです。一般の場合は複数社に選べるものの不動産会社が力を入れないと言われており...

関連する不動産売却の相談

  • 貸していたマンションを売却したいが、別の市に引っ越した

    今回、姉に貸していたマンションを、売ることになったのですが、私はA市に住んでいるため、住民票も移動済み。 しかし、B市にあるマンションを売買しようとすると、一旦、B市に住民票を移さなくては、手続きの際に別に費用がかかると、言われました。

  • 実家に住み替えるためにマンションを売却するか検討

    子供が独立して現在住んでいるマンションは夫婦だけになりました。母親が亡くなってから空き家となっている実家があります。マンションを引き払って実家に住み替えるか、将来のことを見越して考えています。 まずはマンションの価値を知りたいので、査定を

  • 転職と移住で、住宅買い換えローンを利用する場合

    転職と移住に伴う住宅買い替えローンに関する質問です。2006年3月に都内で新築一戸建てを購入し、妻と2200万づつ計4400万のローンを組みました。 このたび、北海道へ転職することになり、新たに2500万前後の住宅を購入したいと考えてます。

  • 一戸建て売却で残った住宅ローンの返済中に家を購入できる?

    4年前に一戸建てを購入しましたが、実家近くに引っ越すので現在の家を売却する予定です。ただ、もし家の査定価格で売れたとしても約500万円の残債が発生します。その場合、一括返済する住宅ローンのような低金利のローンはあるのでしょうか?そのローンを

  • 売却損も含めたローンの借り入れは、建売住宅限定?

    子供も大きくなったので、マンションから一戸建てへの買い替えを考えています。でも、今のマンションを売却してもローンが多少残ってしまい、頭金に考えていた分では払いきれそうにありません。 売却損なども含めた金額のローンも組めるそうですが、それは

関連する売却体験談

榊原さん(仮名・30代)
東京都練馬区

遠くへ引っ越すために一戸建てを売却。引っ越ししてからの売却のため、内覧に不自由はないが、価格交渉等ができなかったのが心残り。

購入価格
4000万円
ローン残債
0万円
売却価格
3000万円
米倉さん(仮名・30代)
京都府京都市右京区

買い替えのため、一戸建てを売却。ネット検索で見つけた不動産会社は担当者によって対応が違い、値下げばかり要求される会社もあるとのこと。

購入価格
3800万円
ローン残債
3100万円
売却価格
2500万円