住み替えの流れを、不動産の購入優先・売却優先・同時進行に分けて解説

住み替えの流れを、不動産の購入優先・売却優先・同時進行に分けて解説

住み替えの流れで最も悩むのは、不動産物件の売却・購入の、どちらの契約を先行させるかです。同時に進める方が多いと思いますが、購入者が現れることと希望の住宅を見つけ、買い替えることは同時に進まないことがほとんどです。ベストな住み替えの流れを元不動産売却担当者が解説。

住み替えの流れは、マンション・一戸建て等の物件について、購入と売却を同時に進める場合が多いです。しかし、住み替えにおいては、不動産の売却がスムーズにいかないと引越し先も決められません。この記事では不動産売却や住み替え先を探す流れについて解説しています。

まず住み替えの流れには、下記の3種類の流れがあります。それぞれの流れの最短期間と平均期間の両方を試算していますので、所用期間の目安として参考にしてください。

売却してから住み替え現住居を売却・引き渡してから、新居を購入手配する流れ
購入してから住み替え逆に新居を手配確保してから、現住居を売却手配する流れ
同時に進める住み替え現住居を売却しながら、同時に新居購入を手配する流れ

以降では住み替えの流れの3つのケースを分かりやすく図で模式的に表して解説しています。また、それぞれの住み替えの流れにメリットとデメリットがありますが、ここでは新学期前に住み替えを完了させるケースを想定しています。

住み替えを順番に行う流れ

以下の住み替えの流れの試算例では、3月31日までに引っ越しを完了させたい場合、最短で2月初旬に、平均で9月以前に取り掛かる必要があります。

売り先行の住み替えの流れ

※購入期間は件数が多い中古マンションの購入例で最短を計4週間としています。もし建築条件付の住宅を購入する場合は合計期間が6ヶ月以上になることがあります。

まず住み替えを順番に行う流れでは、住宅を売却し終わってから新居を購入するのでトータル期間が大きくなります。上図の例では最短で12週間、また平均で31週間にもなります。最短でも住み替えの着手時期は1月6日、平均では217日(7.2ヶ月)前に着手しなければいけません。

住み替えの流れリスト

  1. 現住居媒介契約(着手2週間後)
  2. 現住居売り出し
  3. 現住居売却契約(4週間後)
  4. 現住居最終決済(8週間後
  5. 居住猶予
  6. 新住居契約
  7. 新住居ローン実行
  8. 新住居引越し3月31日
  9. 現住居鍵渡し
  10. 入学4月1日(新住居検討から4週間後

※参照:家の売却の流れから期間を引用
※居住猶予とは本来の引渡し日を新住居引越し可能日まで伸ばしてもらうことです。短い期間なら無償猶予があり、1ヶ月以上なら賃貸契約として日割り計算で補償します。

売却が先に決まった住み替えの流れ

以下の住み替えの流れの試算例では、3月31日までに引っ越しを完了させたい場合、最短で1月下旬、平均的で9月初旬に取り掛かる必要があります。

売り先行の住み替えの流れ

これが一番安心できる住み替えの流れです。より確実なのは最終決済の完了を待って(銀行の担保設定を外して)から、売買契約済みの新居の最終決済を実行します。でなければ、現住居で買い手のローンが実行されないため売却自体が解約となることもあります。

ただ上図のように買主が信用できて問題が無いようなら、最終決済を待たずに売買契約締結の段階で、新居の売買契約を締結します。もちろん、新居購入はこれまでに調べた候補の新居の一つから早期に選択できるとしています。

住み替えの流れリスト

  1. 新住居契約
  2. 新居ローン実行
  3. 新住居引越し3月末日(新住居検討4週間後
  4. 現住居媒介契約(着手2週間後)
  5. 現住居売り出し
  6. 現住居売却契約(4週間後)
  7. 現住居最終決済(8週間後

住み替えの流れの着手時期は

新住居の引越し完了まで(4週間)
+
現住居の売買契約までの期間(8週間)
合計12週間

ですが、売買契約時点で新居手配すれば、現住居の期間の半分が削減できますので合計は8週間になる可能性もあります。この場合だと着手時期は入学準備8週間前の最短で2月2日となります。しかし平均では27週間ですので半年以上前からの着手が必要です。

購入が先に決まった住み替えの流れ

以下の住み替えの流れの試算例では、3月31日までに引っ越しを完了させたい場合、最短で2月上旬、平均的で9月中旬に取り掛かる必要があります。

売り先行の住み替えの流れ

引越し先が決まっても、現住居が売却できないと二重ローンで返済が困難になり、完済できない可能性も生まれます。住み替えのリスクヘッジとして売買契約書では現住居の売却ができない時は解約可能を特約条件として入れておくのが常識です。ただし現住居の購入希望者の計画が不安定になるので拒否されることもあります。

また買い換え保証付きで不動産会社と媒介契約を結び、一定期間で売れない時は査定額から値下げして相場以下でも買取してもらうことを予想して資金計画を立てます。この値下げ可能額は設定登記の抹消や仲介手数料等の費用やつなぎ資金も準備ができる金額でなければいけないため、総額でいくらになるか算出しておく必要があります。

着手時期

新住居購入契約完了まで(2週間)
+
現住居の売買契約までの期間(8週間)
合計10週間

必要ですので、仮定付きの最短期間ですが逆算すれば最短ケースで着手時期は1月20日までとなります。平均的には29週間かかりますので半年以上前の着手が必要です。

同時に進める住み替えの流れ

新学期に備える必要があり、引越し期限が決まっているのであれば、住み替えの流れは同時進行がベストでしょう。

売り先行の住み替えの流れ

住み替えの流れにおける同時進行とは、売却の媒介契約締結と新居購入の媒介契約締結を同時に実行することです。具体的には同じ不動産会社、同じローン担当銀行を使います。新居の引越し完了までの期間は現住居の売買契約までの長い期間に含まれるので合計8週間のみとなります。

そのため最短ケースであれば2月に始めれば間に合います。平均では余裕を持って6ヶ月以上前に住み替えを始めなければいけませんので、少しリスクはありますが、同時に購入と売却を準備して、不動産会社の担当者と売却と購入のどちらが先に決まるのかを予め相談し、流れをおさえておきましょう。

住み替えのリスク

住み替えのリスクを記載していますので、購入や売却が流れに乗らず躓いても、焦らず金融機関や担当業者と交渉しながら対応しましょう。

現住居が売れない場合の流れ

  • 新居の売買契約書に現住居が売れない場合は解約できる特約条項を設けておく
  • 現住居の媒介契約書に買取り保証や買い替え保証での下取り価格を約しておく
  • 銀行によってつなぎ融資サービスを提供してくれる場合があります

新居が間に合わない場合の流れ

  • 現住居の最終決済前に買主に、新居引越し可能日までの居住猶予の了承をとっておく

無償なのか、日数賃料の支払いなのかも決めておきます。

売却してもローン残がある場合の流れ

  • 新居の銀行ローン審査依頼で、現住居売却後のローン残額の継承を頼んでおく

大手の仲介不動産会社ならサポートを受けられることがあります。

住み替え先が決まらない場合の流れ

  • 賃貸住宅に仮住まいして新居探しを続ける

売却が決まっている場合、現住居は売買契約通りに期限での明け渡しが必須になります。

その他の流れ

建築条件が決まっている住宅を住み替え先にする場合、土地の購入契約→建物の購入契約の流れとなり、建築確認や工期の遅れで半年以上掛かりますので、1年掛かりの準備が必要となります。今回の例であれば、入学前に建物が完成し内覧・入居できる必要がありますので、計画にも用意・慎重さが必要です。建物完成が遅れても自宅地域の近所に仮住まいをすることも考えておきます。

住み替えで多い流れ

住み替えは購入と売却を同時に進める流れが普通ですが、売却を優先して購入するタイミングを見計らう人が多いようです。まだ売却が決まっていないのに、希望の住宅が見つかった時は上手く契約を遅らせながら、一方で値下げで売却を早めて調整します。

これは新住居が新築マンションか中古マンションかどうか、また建売住宅かによっても購入タイミングをコントロールできるかの程度が異なってきます。

要するに他に類似物件があれば購入を控えたりのコントロールがしやすいですね。その上新築マンションなら売主物件で候補となる戸数も多いですのですぐに媒介契約を結ぶ必要もなく、マイペースで購入タイミングを決めることができます。また中古マンションなら周辺エリアに類似物件が出ていることも多いので慌てなくても良いです。

多数の場合、同時に手続きを進める人が多いです。ただリスクを避けたいようでしたら、状況を把握・比較・調査し、買いの時期をにらみながら売りを先行させてみましょう。住み替えを理想通りの成功へ導くため、まずはコラムを参照したり、信頼でき知識あるアドバイザーに事前に相談し、アドバイスを受けましょう。

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