心理的瑕疵の条件と告知義務を判例から考察する

心理的瑕疵の条件と告知義務を判例から考察する

心理的瑕疵は事故物件に代表されるように告知義務があります。しかし告知義務のない内容であっても、裁判の結果、損害賠償を請求されることがあります。心理的瑕疵は明確な基準があるわけではなく、事故や事件が起きていなくても問題やトラブルのある不動産は伝えておくのが懸命です。

不動産の売却で発生するトラブルの一つとして心理的瑕疵があります。今回は心理的瑕疵の適応範囲と売主が負わなければならない保証の範囲、そしてトラブルに発展しない対策を記載していきます。

心理的瑕疵とは?

心理的瑕疵とは、心理的な要因で抵抗を覚える要素がある物件につけられる名称で、ワケあり物件や事故物件に使われる名称です。具体的には以下の条件に該当するものを指します。

  • 自殺・殺人などが起こった
  • 事件・事故が発生した(死亡以外も含む)
  • 不動産周辺で大きな事件・事故があった
  • 周辺に嫌悪施設が存在する

これらが心理的瑕疵と分類されますが、上記に当てはまっていなくても心理的瑕疵と認められることがあります。買主が気味が悪い(瑕疵がある)と感じ、裁判で認められれば心理的瑕疵として該当してしまいます。上記の心理的瑕疵は告知義務がありますが、告知義務のない事例でも買主の心情によって心理的瑕疵に該当することがあります。

心理的瑕疵の対策

重要項目記載事項に告知義務がない事件・事故、つまり心理的瑕疵の条件ではないモノであっても、買主に伝えないことで心理的瑕疵による賠償責任が発生する可能性があります。判例を参照する限り、過去にどういった事件があったかではなく、買主(重要項目説明外も含む)事実を知った上で購入したかが争点になります。

そのため売却できなければ仲介手数料が入らない不動産会社に「○○があったことは黙っておきましょう」と唆され、告知しなかった結果、心理的瑕疵による賠償責任を負う可能性があります。何度も書きますが、告知義務のある心理的瑕疵は当然伝える必要がありますが、告知義務のない要素でも瑕疵になりうるものは買主に伝えておくことが大切です。

逆に言えば、事実を説明して購入したのであれば心理的瑕疵による損害賠償責任は過去の判例を元に考えても発生していないことが分かります。ですので対策としては心理的瑕疵になりそうな要素は誠実かつ正直に告知するのがトラブル回避の対策です。

心理的瑕疵の不動産価格

不動産の売主からすれば正直に伝えることで物件価格が下がってしまうのが心配な方もいらっしゃると思います。その対策として心理的瑕疵の発生要因である、事件・事故を起こした当人・親族・保証人に損害賠償請求を行い、補填するのが不動産業界では一般的です。ごまかして価格が下がらないようにするのではなく、売却価格が下がるのを許容した上で、その原因となった人に損害賠償請求を行うという形です。

ただ注意点として、孤独死だと賠償請求できる人がいないので注意が必要です。もし不動産を賃貸に出している場合は事前に防止するしか方法はありませんので、入居者選びの際に保証会社だけでなく保証人を必須にして入居者を選ぶなどの工夫が必要です。

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