騒音でマンションの売却をする時、買主に告知義務はある?

騒音でマンションの売却をする時、買主に告知義務はある?

騒音でマンションを売却する時に気をつけた方が良いポイントを解説。告知義務の有無や瑕疵担保責任、損害賠償請求等、マンション売却の注意点を始め、騒音のあるマンションはどのように対策すべきかご紹介します。

近隣やマンションの上の階で騒音トラブルがあるマンションの売却について解説します。騒音でマンションを売却する時の告知義務の有無と、うまく売却するためのベストな手順を順番にご紹介いたします。

騒音のあるマンションとは

マンション売却における騒音トラブルに言及する前に、どのレベルの音から騒音と判断されるのかを記載します。騒音基準は平成10年に環境庁より交付された告示第64号(平成24年3月改正告示54号)にて定められています。これによるとマンションでは昼間基準値が55db以下まで夜基準値は45db以下まで。例外として2車線道路や幹線道路に面していると割り増しがあります。

データ元日常生活音のデジベル数一覧

これによると人の話し声が通常で50~61db、大声だと88~99db、子供の駆け足が50~65db、洗濯機が64~72dbで意外と数値が大きいことが分かります。この数値が直ちに反映されるわけではなく、隣に音がどれだけ届いているかによって判断されるため、夜は話すこともままならないわけではないのでご注意ください。

一部の賃貸物件で2人の入居禁止となっているマンションがあるのは、話し声による騒音を発生させないようにするのが目的です。壁を薄く作っても単身者用であれば話し声による騒音トラブルが発生しないので建設費が安く済むわけです。

騒音マンションの売却に告知義務はない

騒音の基準が分かったところで、次はマンション売却での騒音トラブルの有無に関する告知義務です。結論から申し上げると告知義務はありませんが、告知せず売却すると心理的瑕疵として損害賠償責任が発生する可能性があります。

心理的瑕疵とはマンションの設備や機能による瑕疵ではなく、買主や入居者が心理的に問題を感じるマンションに該当する瑕疵です。極端な話、入居者が不便を感じたり不快感を感じて瑕疵だと主張すれば、それは心理的瑕疵に該当します。

この心理的瑕疵の請求を逃れる方法は、購入者がマンションの瑕疵を知って購入したか否かが争点となります。つまり騒音のあるマンションを売却する時に、事前に問題があることを前提にしていれば心理的瑕疵による損害賠償は請求されません。

心理的瑕疵の解説はこちら:判例から見えた心理的瑕疵の条件と対策

騒音のあるマンションを売却するには

マンションに騒音トラブルがあると正直に告知して、一般の買主に売却できるケースは少数かと思われます。ですので病死や事件とは違って、騒音等の事前に解決余地がある瑕疵要素は解決してから売却手続きに進むのが通例です。マンションの騒音トラブルを解決する手順は次の通りです。

まずマンションを管理している管理組合に連絡して、騒音を減らすように連絡してもらいます。一戸建ての隣接物件等は折込チラシのような形でメモを入れ、騒音を減らしてもらうように伝えましょう。

上記の手順を踏んでも騒音が解決しない場合、後々トラブルが起きないように紛争解決センターに相談することが多いです。紛争解決センターとは紛争解決センター運営委員会が運営する、斡旋(調停)・仲裁の手続きを行い、第三者を入れて問題解決に対する話し合いを行う機関で、これにより個々の価値観ではなく中立的で客観的な判断により騒音問題の解決を図ります。

また国民生活センターが提供しているADR(裁判外紛争解決手続き)なども騒音問題などの相談先としてよく利用されます。相談概要は上記とほぼ変わりません。

トラブルが起きた場合は弁護士を入れた裁判、もし裁判でも主張が棄却されれば騒音を防ぐためのマンションのリフォームで対策することになりますが、ここまでいくと費用が余計に掛かるので、瑕疵の解決ではなく瑕疵内容を説明した上でマンションの売却を検討する方が経済的な負担は低くなります。

騒音に限らず、マンションの売却で問題がある際は、トラブルのあった不動産の売却を参考にしてください。

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