住宅ローンの残債3000万円以上を完済するのに必要な売却額は

住宅ローンの残債3000万円以上を完済するのに必要な売却額は

住宅ローンの残債があるけど売却したいケースはよくあります。ほぼ住宅ローンの返済を終えている場合は問題ありませんが、マンションを購入して数年で売却する場合、住宅ローンの元本はほとんど減っていません。どれくらいの金額で物件が売れれば、住宅ローンを完済できるのかをシミュレーションしましたので参考にしてください。

今回は自宅を売却する際に支出する費用についての情報です。仮に

  • 4200万円の物件を新築で購入
  • 住宅ローン3500万円、頭金700万円
  • 住宅ローン期間35年・金利1.5%・元利均等方式

という条件で購入した場合、あなたが負担すべき諸費用がいくらになるのかと、最低いくらで売ればプラスが保証できるのか、というのを試算したいと思います。

まずは住宅ローン残債を把握しよう

物件を売却する段階でまず把握しなければならないのは住宅ローン残債です。完済していない住宅ローン残債がいくら残っているのかによって「必要な返済額」は変わってきます

これは住宅ローン金額及び年数・金利がわかれば計算することもできますが、最も手っ取り早いのは「借入れた銀行に住宅ローンの残債照会する」ことです。本格的な住宅ローン残債の計算は専門家に相談すれば手間はかからないですし、取引がある金融機関に残債照会を頼んで回答を断られるはずはありません。店舗の担当に電話するだけなので気軽に住宅ローン残債について質問してみましょう。

ちなみにご参考までに、今回の条件で融資を利用したケースでは、5年目の時点で住宅ローン残債が約3100万円、10年目の時点で住宅ローン残債は約2680万円、20年目で住宅ローン残債は約1725万円ほどになります。また現在の相場観でいうと住宅ローン残債と理論売却可能額の損益分岐点は大体12-13年目ほどですので参考としてご活用ください。

必要諸経費と計算方法

ベースとなる住宅ローン残債を把握すると、次に「物件売却時に必要な諸経費」を計算する必要があります。この内訳をざっとあげると

  • 仲介手数料
  • 譲渡税(購入時にくらべ利益が発生した場合)
  • 登記費用:抵当権抹消登記費用などに相当
  • 住宅ローン繰上げの返済手数料
  • 固定資産税の日割り

が必要となる予算費用です。

まず「仲介手数料」。これは提携した仲介業者に払う手数料です。400万円超の場合「3%+消費税」が必要額となります。これは宅建業法で定められています。

不動産売却の仲介手数料

次に「譲渡税」。これは「購入時」よりも「売却額」が高かった場合、その分に関して課税されるもので、不動産の場合「所有年数が5年を超えているか否か」によって税率が変わってきます。ちなみにここでいう5年とは「譲渡した年の1月1日時点」をベースとします。

5年超の場合、2037年(平成49年)までは復興特別所得税を加味したうえで「15.315%」、5年以下の場合「30.63%」が税率となります。利益が出る場合はかなり額が変わってきますので注意しましょう。

マンションを売却して住み替える費用

登記費用(抵当権抹消)および繰り上げ返済の手数料は「住宅ローン残債が残っている場合」にかかってくる費用です。抵当権抹消費用は司法書士に依頼して2万円前後、住宅ローン繰上げ返済の手数料は金融機関契約によって異なります。この部分も金融機関に残債の見積もり結果を聞くとき、まとめて一度にご相談すれば手間が軽減します。

最後に「固定資産税の日割り」ですが、これは不動産売却時、「本年度の不動産を所得していた日数÷365日(年)×固定資産税の額」で求めます。固定資産税については物件によって変わる上に3年ごとに改定となりますので、前年の固定資産税額と保有していた日数を計算してそこから求めましょう。

残債+必要諸経費≦売却価格になるように設定しよう

上記の必要経費がわかれば「損益分岐点となる額」が見えてきます。もし住宅ローン残債および必要経費を加味したうえで「マイナス」になる状態でしたら、不動産は売らずに保有しておいたほうが無難です。

またあくまで「理論上売却可能な額」と「市場取引額」は異なるため、仮に2000万円の市場価値しかない状況でも、3000万円で売りに出すことは可能です。「査定価格より残債と諸費用合計額のほうが多いが、どうしても売りたい」という事情がある場合、とりあえず「残債に諸費用を上乗せした額」で売りに出しておいて、それが成約すればラッキーかな、程度で掲載だけしておくという手もあります

ですが当然、「買い手」が見つからなければ売りに出しても意味はないので、あくまで「売れればラッキー」程度の手法であると考えておいてください。

以上が「いくらでマイホームを売りに出せば実質的に損がないのか」というのを計算する方法でした。不動産販売会社の「損益計算」には諸費用に関する項目を計上していない可能性もあるので、「住宅ローン残債と同じ額で売ればよいと思っていたら最終的に損をした!」というお金の失敗も発生したりしておりますので、今回の記事内容を参考にきっちりと住宅ローン残債と損益を計算して無理の無い資金プランを立てましょう。

Step0
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